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肝鬱化火の弁証論治

病因病理:弁証論治  5/5


赤ちゃんが欲しいということと、疲労感、だるさ、背中や腰の痛みが辛いという 訴えです。

舌を拝見して、30代の後半という若い年齢でありながら、紅舌であり、歪舌で あるのに、少し危機感をいだきました。 これは、過去に肝風内動を起こした可能性がうかがわれ、その器の状態が非常に きびしいところにあることをしめしています。






もともと、10代から、人より疲れやすく、便通も3日に一回程度という状態の 方です。身体全体の器が小さかった可能性が考えられます。

20代は、仕事が忙しいということと比例して、体調が悪化。それに頻尿や多尿 などを伴っていたということは、もともと小さな腎気が補われることなく、損傷 していったということであり、31歳のときに、少し聴力低下を感じるというこ とも、腎気の損傷を物語るものでしょう。

32歳のときに、突発性難聴をおこしています。20代よりすすんだ腎虚の状態 は、肝気を支えることができず、肝鬱化火してしまったのではないかと考えられ ます。土台がもろくなったところに、無理がかかったための腎虚肝鬱化火となり、 耳を焼いてしまったのではないかと思います。腎虚の状態が深かったため、ステ ロイド治療などにもあまり反応せず、逆に、これをきっかけに体調が一段と悪く なります。

御本人はステロイドのためと考えていらっしゃいますが、ステロイド自体による ものと、御本人の器が、ここで壊れてしまった(肝鬱化火による器の損傷)ため、 もともと小さな器であったのが、非常に小さくなってしまったということ でしょう。

35歳の結婚まで、フルタイムの仕事をつづけ、あまり器が回復することなく、 経過し、この時点で、夜間排尿など、もう一段腎気がおちた状態をしめし、かつ、 生理痛がきつくなる、塊がまじるなど、お血の状態にも陥っています。全体の器 の小ささが、子宮においては気滞血瘀を生じさせていったと考えられま す。






いまの全身状態は、全体の気虚がかなり明瞭です。列缺から内関の明瞭なかげり。 朝から午前中にかけてのぼーっと辛い状態など、全身の気虚をしめしています。 そして、その全身の気虚の中、とくに弱りが著明なのは腎気です。もともと、尿 の問題が出現しやすく、聴力の低下、突発性難聴など、腎気の弱りが出がちであっ た方が、補われることなくすごしたせいで、腎虚が進んでしまっています。

腎気の漸減的な弱り、そのなかで、32歳の突発性難聴、35歳過ぎよりの気滞 血瘀の状態などをあわせ考えると、弱った腎気でありながら、肝気をた て、張って生活していた状態がみえてきます。つまり、土台の虚(腎虚)のうえに、一段と器を壊してし まうだろう肝鬱化火の状態まで引き起こしてしまったというのが今の状態でしょう。

また、風邪の内陥状態がつづいているのも、身体のいたみ、だるさに強い影響を 与えている可能性が高いです。






まず、第一に腎気の回復。そして裏をたてることにより、内陥している風邪を払 うことが急務でしょう。そして、腎気の回復と共に、子宮の養いをよくしていく ことで、子宮においての気滞血瘀を回復させ、お子さんに恵まれるよう にしていきたいところです。

ただ、舌の状態をみるに、腎気の弱りはかなり明瞭であり、そのなかから肝鬱化 火の状態にもなっているのです。これ以上器を壊さないということも大事です。 仕事が楽な今、しっかりと身体作りをしていくことが、とても大切で、いまやっ ておかなければ、器質的な器の崩壊をも招きかねない状態であるということは、 考えておかなければならないと思います。




治療経過



風邪の内陥を払い、腎気を救い、全身の器の立て直しのため 週に2回鍼灸治療を開始。

1年半経過後、無事に妊娠39歳にて第一子出産。
第一子妊娠中、妊娠糖尿病と言うことで、カロリー制限を受ける。
何を食べても糖が出てしまうという状況の中、自分の体重も増えず(4キロ増) 2500グラム強の出産となる。

その後、週に1度の鍼灸治療を継続

産後の気血両虚の時期を乗り越え、出産前までの状況に戻り無事に第二子を妊娠。
44歳、出産。
第二子妊娠中も糖がでるものの、糖質制限をゆるやかにおこない、
無事に3000グラムオーバーの赤ちゃんを出産。
また、ご自身の体調も妊娠前よりも役10キロ増えた今回の方が とてもよかったとのこと。

無事の安産を母子ともに元気に迎えられたこと、私もとても嬉しいです。

元気に、賑やかに、楽しく生活しましょう!!




主訴:問診 1/5

時系列の問診 2/5

切診 3/5

五臓の弁別 4/5

病因病理:論治:治療経過:一人目:二人目出産まで 5/5






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