症例を、きちんとした文章に仕上げてみました
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熱熱弁証論治のはじめへ

論治  5/5



主訴は


本症例の主訴は、腰の痛みです。

はじめは、生理の時期に痛みが出現していたのが、年をへるにしたがって、 常時腰が痛く、生理のときには、より痛みが増すという状況になっています。

また、ご本人としては、主訴にはなっていませんが、数脉はその数が非常に 多く(通常一分間に102拍)、ちょっとした動作で120拍を超えてしまっ ています。

これは、西洋医学的なフォローが必要な範疇である可能性が 高いので、病院にいかれることをお勧めしました。病院では、体質の範囲と し、西洋医学的には問題とされる状態ではない。とのことです。




生理の問題と腰の問題


本症例では、

生理の問題と腰の問題の関係が明確。

生理の問題と全体の関係が明確です。

腰と生理

以前は、生理になると腰痛が出現

いまは、常時腰痛が出現、生理になるとより悪化

生理と全身

飲酒などが過度になると、生理が飛ぶ。




肝欝腰痛の可能性


生理時に出現する腰痛ということでは、腎虚によるものと肝欝によるものの可 能性が考えられると思います。

この方の腰痛は、暖めてもまったく改善しない。痛いほうを下にして寝ると、 お腹のほうまで痛い。朝昼が調子が悪くて夕方になると改善、入浴は改善。という一連の 流れがあります。

これは、虚による腰痛ではなく、肝欝による腰痛ではないかと いう可能性が考えられます。

つまりこの入浴で改善というのも、暖めたから楽に なっているのではなく、入浴で肝欝が晴れる事により腰痛が改善している可能性 が高いのではないかと考えられます。

生理前から、生理期間中の肝気の高ぶりが、 この腰痛の主要矛盾である可能性が高いわけです。

また、痛いほうを下にして寝 るとお腹のほうまで痛いということから、瘀血性の腰痛でもある可能性 が考えられます。肝欝瘀血の腰痛ということです。

そして次の段階として、普段から常時痛みがあり、生理のときにより痛みが増 すといったことを考えたほうがよさそうです。




飲酒と生理は?


生理と飲酒の関係は、過度の飲酒が、腎気を直接的にいため、生理が飛んでし まうという状況を引き起こしている可能性が一番高いのではない かと考えられます。

しかしながら、生理がないときには、鼻血などの 出血があるというところから、腎気をいためてしまい、生理自体は飛んでいるけ ど、衝任脉としてみると、勢いがあり、上からあふれるような状態になっている のではないか(つまり、身体の力はそれだけあるということ)とも考えられます。




肝気犯胃の問題


肝欝が問題の中心であった腰痛が、普段も常時痛んで、生理時により強くなっ てきたということは、虚が進んだのではないかという可能性が考えられます。

また、肝欝の状態が、生理のときという女性にとっては当たり前の状態のリズムの 中で出現したり消えたりしていたものが、腎虚が進んだことにより肝気の収まり が悪くなり、常時肝欝状態になってしまっているのではないかという可能性が考えられます。

20代後半からの、職場のストレスなどによる胃潰瘍ができたこと、体重が急 激に減少したことなどは、非常に強い肝気犯胃状態であることがわかります。

脾気の状態も、ツボの状態、便通の状態、食欲の状態などから、かなり明 瞭によくない状態であることがわかります。この脾気の状態では、裏の養いが かなり損なわれているのではないかということがわかります。

また、胃潰瘍が常時あるという状態は、肝気犯胃の状態が継続的であることを 明瞭にものがたっているのではないかと考えられます。




気の上衝の問題、素体の問題。


本症例の患者さんの場合、おかあさまも非常に数脉がひどく、西洋医学的にも問 題がないとされたことから、体質的に気の上衝(肝気の上逆、肝欝といえると思 います)をおこしやすく、それが上焦の熱と為り数脉になったり、多汗になった りとしているようです。

正気が充実し、裏の状態がよければ、体質の範囲であると語ることはできそうで す。

しかしながら、こういった方が、バランスを失うと、非常に傾きが大きいので、 問題が大きくなりがちです。

生理時の下焦が少し虚したときにそれに乗じて肝欝が きつくなり、腰痛が出現。

また、肝欝が、直接的に脾胃をいためると、継続的に 肝気範囲の状態に為り、体重の減少、胃潰瘍が常時出現するという状態になって います。

そして脾の虚が、裏の虚をすすめて、脾腎の虚となる可能性。

また、胃の虚が、降濁機能を失ったため、より上逆がきつくなり、もともとの 気の上焦タイプである本症例の患者さんにとっては、より気の上逆がきつくなる という問題をひきおこしてしまっています。

これにより、上衝に熱をもちやすくなり、そのために多汗になる。多汗が過度 になると、心の陰虚まですすみ、それが腎の陰虚へと波及。より陰虚熱を強く持つ という悪循環になってしまっています。

下肢内側の「またひばち」といわれた赤い瘢痕はこの腎の陰虚への波及ともみる ことができそうです。

本症例の一番の問題は、肝気鬱結であるといえましょう。

そこから波及した腰 痛、胃痛が一番目の問題。

そしてそれが進んだための脾虚、腎虚が二番目の問題 です。

二番目の問題の虚により一番目の問題がより強くなるという側面がありま す。

まず、肝欝を払い、主訴の腰の瘀血を動かします。

また肝気を払い、胃 の気を救います。胃の気を救うことで、脾気も救われていくのではないかと思われます。

また現時点では、腎気もかなりいためてしまっていて、それが腰痛が肝欝腰痛が中心 であったのに、現時点では治りにくくなっている原因ではないかとも思われます。

気の上焦をタイプの持ちやすいという、素体であればこそ、しっかりと腎気の根を張 ることが、ご本人のこれからにとって、一番重要ではないかと思います。







弁証:腎陰虚、肝気鬱結胃気上逆

論治:(すぐにしなければならないこと)疏通経絡、和胃降逆
   (長期的にしていかなければならないこと)補肝腎。


.....熱熱弁証論治のはじめに戻ります........






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