【訳者私見】
嘔吐という事に関して、原因をあれこれわけて考えています。多分正豊さんは、ど
の症例でも灸を胃兪、三里にいれて裏をたて、原因にあわせて、適宜、鍼を使って
いったのではないかと私は思います。
風池は穴性学ハンドブックに「手足の少陽と陽維の会穴であり、表邪を疏散し風
熱を宣散させ、頭痛を静めて、寒熱を止める」とあります。
太淵は、「肺の原穴であり、手の太陰の脉のそそぐところ(月兪)である。また脉
会でもある。風痰を去り、肺気を理し、上焦の気を清粛し肺気を清めて咳を止め
る」とあります。
この咳をとめるというのは、上逆している気をただすといういみで、吐くという
胃気の上逆に対しても、肺気を理すことが同じ作用をもたらすのだろうと、私は思
いますつまり、肺の粛降作用を望むということです。
また、この風池太淵には、風邪をさり、肺気を建てることによって、華蓋をしっ
かりさせるという意味もあると思います。
気海、三里を使って、気を引き下げること、そして肺気を使って粛降作用を望む
こと、二段構えですね。