一般的に疝気は、湿熱、痰積が流れ下って病をなしたものです。あるいはまた、
虚寒により、食積によってもおこります。みな肝経に問題があります。
肝経を通じるようにしなさい、また腎経を犯すことのないようにしなさい。
七疝の症、
厥疝は心痛し、足が冷え、食べたものを吐きます。
(病ー丙+假ーイ)疝は、腹中に気が積みかたまり、臂のようです。
寒疝は、冷たいものをとったことにより、にわかに心腹が引きつれて痛むもので
す。
気疝は、忽ちに満ち、忽ちに減じて痛みます。
磐疝は、腹中が痛み、臍の傍らに引きます。
附疝は、腹が痛み、臍の下につらなり、積聚があります。
狼疝は、小腹から陰部へと引き痛みます。
針、天枢、太衝、大敦、腹結、気海、関元、石門、滑肉門、三陰交。
灸、章門、三陰交、大敦、気衝、肝兪。
秘伝、病人の口をふさいで、口の横幅の寸法をみっつとり、それを三角にしなさ
い。このようにして、上のかどを臍の下廉にあて、下の両角に灸を左右各21壮す
えなさい。七疝とも奇効があります。
陰卯偏大であるものは、関元に100壮灸をすえなさい。
【訳者私見】
疝気というのは、差し込むような痛みという事だと思います。疝にはいろろな種
類があるのですが、「あらゆる疝はすべて肝に属する」と
いう言葉もあるように、すべて肝経に由来していると古来考えられています。おこ
る部位が少腹部から陰部にかけてであり、激痛を伴うということからなのでしょ
う。こういった痛みは、肝経を納めるほかはないという経験則から出ているのかも
しれませんねえ。
灸では、章門、大敦、太衝、肝兪など肝経を遠隔的に引こうとし、腹部の鍼では
直接的にあつまった気を散じ、痛みをとるというやりかたでしょうか。