歯は骨の余り、腎がこれを主ります。上の前歯は督脉に属し、下の前歯は任脉に
属します。両顎の上の歯齦は手の陽明大腸、下の歯齦は足の陽明胃経
がこれを絡います。
風を吸うときに、痛みが甚だしいものは、腸胃に風邪があります。
腫れて痛いものは陽明の風熱です。
臭いがひどいものは腸胃に熱があります。
歯が動いてゆらぐのは腎元が虚しているためです。
血火にあうときは、歯ぐきより歯が沸きいでて、伸びてあらわれるような状態に
なります。熱が極まり、歯のつけ根から血が出るものは虚熱です。
虫歯は竅があり、腸胃の湿熱です。
走馬牙疳【訳注:疫病で歯が腐れ落ちるような状態】は、すぐに腐り落ちます。
真陰がいまだに成熟せず熱が盛んなためです。
少海、合谷、内庭、四涜、上廉、太淵、三間、浮白、陽白。
歯が痛めば商陽。
牙が痛めば陽谿、少海、曲池、陽谷、二間、児[。
上牙痛には人中、内庭、太淵、呂細、少海、三里、または肘の上、肉のおきると
ころに灸をすると妙効があります。
下の歯が痛むときには、竜玄側腕交差【訳注:陽谿】、承漿、合谷、三間。さら
にまた、腕のくびから5寸上【訳注:温溜】、両筋の間に五壯お灸をすえ
ると妙効があります。
血熱が胃口にあって、咽、歯に引いて痛むものは、浮白、内庭、合谷。
頬が腫れ、牙が痛むものには、頬車、曲池。
虫歯には痛む歯のとおりの歯ぐきに刺しなさい。妙効があります。
虫食い牙によって、瘡を生じただれているものには、承漿に灸を7壯しなさい。
牙疳には承漿に鍼灸しなさい。