太極の論
針に太極ということがあります。
この理は言葉に述べても心におちず、心に得ても言葉に述べがたいことで、万物の 上において太極の理【原注：ことわり】がないということはありません。
先ず、天地が未だ分かれていないということをいいます。太極は判れて陰陽両儀を 生じます、これより寒暑燥湿風木火土金水千変万化となります。
分けて云うときは、虚無より混沌をいだします。清【原注：すめる】は上って天と なり、濁りは下って地となります。これが乾坤の初めです。針の上において沙汰す るときは、針はもともと金であり、虚無の躰をしており、細少【原注：ちいさき】 無心【原注：こころなき】のものです。何によってか、千変万化の病を治します、 これは針者の術を得るところです。補瀉迎隨温冷寒熱病に従い、明手を施すことは 太極の口伝があります。極めて秘密であるので、分明にあらわすことができませ ん。
鍼の道がかなう時には、至らない所はありません。一気がその中に周流して、その 神【訳注：すばらしい力】を現します。これは自然にそなわる理であり、外にそれ を求めることはできません。
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