不妊の治療というのは、私の20年前の出会いでもわかるように、ある時期まで、女性側に過排卵をおこさせて、なんとか受精の機会をあげようということが中心でした。それがこの10年ぐらいでしょうか、体外受精の登場で圧倒的な進歩をみせました。
35歳で不妊治療終了とされていた時代から、生理がある限り治療可能の時代です。
また、時代の流れとともに、女性側の妊娠への意識もかわり、妊娠を望む年齢があがってきたことも、現代の不妊治療の流れを大きく推し進める要因にもなっていると思います。
体外受精を含むすばらしい現代の不妊治療ですが、それでも、
結果がでないことも往々にあります。
精子と卵子が一つに出会えた初期分割の受精卵を戻しても、
着床寸前の杯盤胞の受精卵を戻しても、
妊娠しないときはしません。
そして、それほどの治療をうけたあとでも、あっさりと自然妊娠することもあります。
妊娠は、単に物理的な問題だけではないなあと実感させられることが
本当にたくさんあります。私をふくめ、不妊の治療とされるものは、すべて、お手伝いをしているだけなんだと思います。
受精する、着床する、妊娠として成立する。これらのプロセスは、次の世代を生み出すための神様の領域があるのだと思わずにおれません。