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論治  5/5


痺証では、正気の虚、外邪の罹患、瘀血湿痰の問題を中心に時系列で、 考察していく必要があると考えられます。

99年7月に高血圧のため帝王切開にて出産

01年12月末、寝不足が続いた後、乳腺がしこり、痛みと発熱があり、医者 で風邪も引いているから、断乳をと言われ断乳する。熱がさがったあと、右手 人差し指に、あまり痛みは伴わないが、赤く脹れるという状態が出現。

痺証の場合、出産後の疲れ、すなわち腎気を中心とした正気の虚が発症のきっ かけになることが多いのですが、本症例の場合は産後とりたてて不調ということはな く、高血圧も納まり、母乳も良く出て、出産後1年で生理も始り、一定の正気の 回復をみていますが、充分な腎気の回復があったとまでは、いえなかったのでしょ う。その後の寝不足などの、育児疲れにより、肝欝気滞が極限 におこり、乳腺の脹れをもたらしてしまったと考えられるのではないかと思いま す。

疲労のために、気機の動きが滞り、肝気鬱結をおこし、乳腺が欝滞し、発 熱した。また同じく疲労のために風邪を引き込み、営衛の不和を引き起こし発熱したのではな いかと思います。

そしてこの一連の、疲労、気機の滞り(肝欝気滞)、発熱、外邪の罹患により、 痺証が出現してしまったのではないかと考えられます。







いったん発生した痺証は、納まることはありませんでしたが、整形外科では、 いまの程度では積極的な治療は進められないと、痛み止めの内服ややシップなどで なんとか日常生活は不自由なく過ごしています。しかしながら、発赤は、だんだ んと広がり、夏ごろには、手指、手関節、足指、肘など症状が出揃う感じになっ ています。

劇的な進み方ではないにしろ、一度生じた全身における正気の弱りが、積極的 に補われることがなかったので、局所的には関節各部における、気機の疏通不利 による気滞をおこし、熱感や痛みが徐々に広がって言ったのではないかと考えられます。

その後、秋になり寒くなったことより、左ひざの痛みから、右ひざの痛みが 発症し、水を抜くなどで対応していますが、症状が増えていっています。これは 寒さによって、より気機の動きが悪くなり、局所の阻滞をおこしていったと考え られます。







02年1月より、リウマチによいという鉱泉を勧められ、多量に服用し、どろっ とした便が出で、非常に身体が疲れてしまう、おなかが痛い、下痢という状態に なっています。

この症状から考えると、鉱泉により、脾気を強くいためた可能性が考えられま す。便通も便器に付いたり、すっきりしないという脾虚をおもわせることが出ています。そして強 い疲れが出てきているというところから考えると、腎気まで損傷してしまったの ではという可能性が考えられます。

こういった脾腎の気をいためるという正気の虚に乗じて、ふたたび風邪を引き 込み、症状が強く悪化しています。そしてまた、この時期は花粉症もあり、妊娠 希望のため薬を服用していないので例年より症状が強るという状態の中で、今回 の一番辛い非常に強くて辛い関節各部の熱感発赤を伴う痛みの状態が発生してい ま す。

花粉症という状態は、上焦の欝気、異物を排除しようと上焦に気をあつめ、そ れが欝気、鬱熱となっている。また上焦を支えるために、脾腎の陽気を使ってる ためその臓腑に弱さー虚が見えている、そんな状態ではないかと思われます。







鉱泉の多飲により、脾気、腎気をいためたという正気の虚、

風邪という外邪の罹患、

花粉症という外邪による身体の脾気の弱り、

上焦の鬱熱、局所における、気の滞り、肝気の疏泄不利。

これにより、痺証の症状が強くなってしまっているのです。







現時点をみると、こむらがえりや目が疲れやすいなど、肝気の虚損や、口内炎 という心熱の存在が候われます。

本症例の痺証は、鬱熱からはじまり、正気の虚損が回復されないため、症状が 広がっています。初期には肝欝気滞を中心とした風痺の段階にあったといえましょ う。

しかしながら、今回は、鉱泉の多飲により脾気を著しく低下させ、腎気まで虚 損させたことが重大なきっかけとなっています。

花粉症による鬱熱や風邪による正気の虚とあわせ、脾気の低下が症状の悪化と 大いなる要因です。

脾気の低下により、便通がすっきりつかなくなったために、身体の中の熱を取 り去る手段を失い、より鬱熱が亢進したために症状が悪化したのではないかと考 えられるのではと思います。また脾気が低下し、湿痰が形成されつつあり ます(季肋部の状態などによる)ので、それによる鬱熱も加わってきたのではな いかとも考えられます。食べすぎや便秘で悪化というのは、通じざる腑の 熱を思わせるものです。。

ご本人は、妊娠希望ということで、花粉症の薬も、風邪の薬も飲まずに頑張っ ています。ただ、いまのこの沢山の関節が赤く腫れている状態で妊娠しても、 状態がよりわるくなったりすれば大変なだけです。とりあえず妊娠は時期をずら し、今回は鬱熱の状態を亢進させている花粉症を抑えるため花粉症の薬を飲み、 生命力の低下をまねき、営衛の不和を生んでいる風邪も疾く治すために、風邪の 薬も飲み、鍼灸をして体の力をあげ、不要な欝滞を取り去り、蓄っている熱を落 とし、身体の腫れを納めていこうと提案しました。妊娠は身体の状態がよければいつでも出来ます。とり あえず、暴れているリウマチを落ち着かせなければなりません。







肝欝気滞、脾気虚損、疏風外感。

瀉鬱熱、通腑補脾。




☆解説☆



.....リウマチの弁証論治2のはじめに戻ります........






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