主訴は、難病にも指定されている潰瘍性大腸炎ですが、よく緩解し、安定した状態が
続いています。 ご本人の明るい、細かいことに拘わらない性格が、ストレスで悪化することが多いと
いわれる潰瘍性大腸炎を良好に保つことが出来た大きな要因ではないかと思われます。
潰瘍性大腸炎という消化器官の病気ながらも、脾胃の状態は割合と良好なようです。不摂生に
反応して、便の状態などの多少の変化はあるようですが、食事がおいしく食べられ、便通が
よいのは、なによりでしょう。病態が悪化しないのも、このような脾胃の状態のよさも
性格のよさとあわせ、ご本人の健康の一助となっているでしょう。
小児期よりは、風邪を引きやすい、お腹をこわしやすいなどの小さな問題があるもの、
問題なく経過し、突然18歳での発症となっています。
先天の腎の器が小さいのか?というところですが、現時点での情報だけでは、断定できない
と思われます。しかしながら、発症時の状態は、腹痛、下痢、血便、頻脉、大きな体重減少という
病態としてかなり深いものであると思わざる負えない状態になっています。
このように、急速に、器が壊れるほどの病態を示すということは、本人の器としての素体のもろさを
物語っているのではないかと思います。このことは、良好な状態を保つも、過労により、再度
発症し、1ヶ月に8キロもの体重減少という急激な形の変化をみることになります。
このことにより、素体の器のもろさ、密度の低さを感じざる得ません。
また、体重の増減が激しいことも、同様に考える要素です。
57(18歳) 51、58、67、58、60、65、60(25歳)と、たった7年の間に
体重がこれほどの増減をしてしまうというのも、不安定さを物語るものでしょう。
2ヶ月前からの、左肩の痛みと呼応して、尿の問題が出ています。左肩の問題は、肺兪の虚、
手の左外関、列缺、合谷の冷えなどからして、なんらかの寒邪の阻滞によるものなのではないかと
思われますが、同時に、尿という下焦の問題まで引き起こしているのが、気になります。
そしてそれが2ヶ月も解決しないということは、やはりここでも、素体の脆さ、そしてその位置が
下焦という深いところにあるのではないかということを考えさせます。
脾胃の状態がよく、風邪をあまり引かないという、中焦、上焦の問題が割合としっかりしているのに
くらべ、下焦の状態の不安定さがめにつきます。背部腧穴でも、右の三焦兪から腎兪にかけてが、他の穴にくらべ
突出して不安定さをだしています。腎気の不安定さをそのまま物語るものではないかと思われます。
腎気をたて、素体の密度をあげ、身体の安定度を高めることが、ご本人がこれからも、よい状態を
維持するために必要なことではないかと思われます。
弁証 腎気不固
論治 腎気を固める
処置 右三焦兪 30ミリ3番で置鍼。